@産学共同研究とは?


「産学官共同研究」とは、民間企業(産業界側)と大学(学)や研究所(官庁)が連携して、共通の研究課題を対等の立場で研究することです。
 
産学官共同研究

A産学共同研究により生まれた「炭八」(2001〜)

 出雲カーボンは2001年から出雲土建鰍ニ共同で「炭八」という「床下調湿木炭」「天井調湿木炭」の開発を行ってきました。
 そして、その開発は事業開始当初から「島根大学との共同研究ありき」の前提条件で行ってきた結果により、順調に売上げが伸びてきました。
もちろん、開始当初からの十年間は、山あり谷ありでしたが、「炭八」事業を絶対に成功させようという情熱を持たれた多くの研究者のおかげで、産学官共同研究の成果が出始め、成功したと言える段階にきたと思います。


2005年6月には第5回中国地域産学官コラボレーション会議における「産学官連携功労者表彰」を受賞しました。


●島根大学産学連携センター

地域産業共同研究部門

●島根大学産学連携センター

地域医学共同研究部門

北村寿宏先生
島根大学
地域共同研究センター
教授 北村寿宏先生

石崎信男先生
石崎炭素研究所
石崎信男先生

B全国初の床下を乾かすという除湿の実証(2002〜2006)

 2001年に「炭八」事業をスタートした頃、調湿木炭と言われる木炭は、全国で何百社ものメーカーで製造されていました。
 しかし、その中で1社としてその調湿する能力と、なぜ床下が乾くのかを科学的に説明できるメーカーはありませんでした。
 出雲カーボン、出雲土建では産学官共同研究で、まず最初に木炭「炭八」の湿気を吸ったり吐いたりする調湿能力が高く、なおかつ製品の品質が一定になるような製造条件の確立を目指しました。
次にその「炭八」を、既存の湿気に困っている戸建住宅に敷設し、床下の湿気が除湿されることを実証しました。
 木炭「炭八」でなぜ床下が乾燥するのか?というメカニズムを産学官共同研究により、全国で初めて実証し、「目に見える化」に成功しました。
この結果は、木材学会で発表されました。

●第53回日本木材学会福岡大会
●第16回日本木材学会中国・四国支部大会
●第55回日本木材学会京都大会

製品の信用度を高めるため、現在でも研究は継続しています。
淺沼 友光
出雲土建
環境研究室
淺沼 友光


sum-ootani2
元島根大学総合
理工学部教授

現東京学芸大学
教育学部准教授
大谷 忠先生

C炭八と住居環境(2002年〜2011年)

●調湿について
島根大学との産学共同研究で開発・製造した木炭を用いて、モニター住宅により床下に木炭を敷設した場合の環境変化を調査し、床下の湿度の低下・床下木材の含水率の低下など木炭の敷設効果を明確にしました。
この研究は日本建築学会(関東)2006で発表されています。

●消臭について
炭八を天井裏に敷設し、天井を孔空きボードにすると天井裏の炭八がホルムアルデヒドやトルエンなどの化学性物質濃度を低減させることがわかりました。
また、靴箱に炭八を使用すると靴箱内の臭気レベルが減少する事が実証されました。
これらにより、炭に消臭効果があることが解明されました。この研究は空気調和・衛生工学会2009で発表されています。

●節電について
また、松江市内の鉄筋コンクリート造マンションにおいて天井裏に「炭八」がある部屋と無い部屋を使って、暖房(エアコン)した際の消費電力について研究を行っています。
その結果、「炭八」がある部屋の方が「炭八」がない部屋と比べて13%程度電気代が節約できる事がわかってきました。

●日本建築学会(関東)2006
●空気調和・衛生工学会2009
中井毅尚先生
島根大学総合理工学部
中井毅尚先生


床下測定状況
床下測定状況

D炭八の防音効果(2008年〜2011年)

 近年、マンションやアパートで騒音で困っておられる入居者は約6割にのぼっています。
隣や上下階の音は気になっても、自分の家の音が隣や上下階には騒音となっていることが分らないケースが多いようです。
特に苦情になりやすいのが、子どもが飛び跳ねた際に発生する「ドスン」という低い衝撃音(重量床衝撃音)です。「炭八」を天井裏に敷き詰めると、上階で発生した重量床衝撃音63Hz帯域を、約4〜5デシベル減らす事がわかりました。
炭八の防音効果は厚さ3cmのコンクリートと同じレベルの防音効果があり、建築コストを抑える事もできるのではないかと期待されています。

●2008年8月1日 毎日新聞
●2008年8月2日 日本経済新聞
●2008年8月2日 産経新聞
中井毅尚先生
島根大学総合理工学部
中尾哲也先生


バングマシン
重量床衝撃音発生器
(バングマシン)


下階測定状況
下階測定状況

E「炭八」を入れる袋と、炭の形状(粒度)で特許の取得(2003〜2007)

 従来品の調湿木炭が入っている袋は、目が粗く、炭の粉が漏れて利用する際に汚れてしまうという問題がありました。
また、木炭チップの大きさもどれ位が適当なのかもわかりませんでした。そこで、粉が漏れにくくて調湿しやすい不織布と、適正な木炭の形状(粒度)を発見し、「床下調湿材」として特許を出願し、2006年2月10日に特許を取得しました。

●特許3768498号
●発明の名称 床下調湿材
特許3768498号

F出雲市では6〜7軒に1軒のお宅で床下に炭八を敷設(2002〜2011)

 産学共同研究の結果を広く広告することにより、販売開始から9年経過した現在では、出雲市の人口約14万人の地域では、戸建住宅約6〜7軒に1軒のお宅で床下に「炭八」が敷設されており、認知度も高く地域ブランドとして確立しています。 のぼり

G336戸のモニター結果で新たな共同研究のテーマを決める(2002〜2003)

 湿った床下を除湿することができる調湿能力の高い「炭八」ができあがった2002年5月にモニター336戸の戸建住宅の床下(8畳1間)に「炭八」を無料で敷設していただき、敷設後1ヵ月後、半年後、1年後にアンケートにお答えいただきました。
その結果、ほとんどのお宅で除湿効果が現れ、カビがなくなるなど多くの人に喜んでいただきました。
■モニターアンケート結果

※クリックで詳細
アンケートの結果から、下記のキーワードで新たな共同研究の挑戦が
始まりました。
キーワードは、
1. アトピー性皮膚炎
2. ぜん息
3. カビ
4. ダニ
5. シロアリ

Hアトピー、ぜん息などの原因となるカビ・ダニが「炭八」の除湿効果で減少(2003〜2009)

 アトピー性皮膚炎・ぜん息などの病気にはアレルゲン(原因物質)であるカビやダニを居住空間から少なくさせることが大きな改善ポイントであることが知られていました。
そこで、「炭八」を床下や天井に敷き、炭を入れる前と後でどう変化するかを研究しました。結果、炭八を入れるとカビやダニ、ハウスダストが減少することがわかりました。
カビの研究は、キトラ古墳、高松塚古墳のカビ問題の研究者である前国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部長、現NPO法人カビ相談センター 代表 高鳥浩介先生にご協力いただきました。

●第36回日本防菌・防黴学会
 sumi-takatori.jpg
NPO法人カビ相談センター
代表 高島浩介先生

I島根大学医学部との共同研究の開始(2003〜)

  ダニやカビが「炭八」で少なくなることがわかったので、アトピー性皮膚炎の症状が改善できるのではと考え、知り合いのアトピー性皮膚炎やぜん息の患者さん約10人の自宅の床下や室内に「炭八」を入れていただいたところ、現象的に症状の改善が見られました。そこで、「炭八」の敷設によるカビ、ダニの減少と症状の改善についての因果関係を検証するために、島根大学医学部皮膚科との共同研究を開始しました。 島根大学医学部
島根大学医学部

J炭八でアトピー性皮膚炎改善の可能性(2003〜2008)


その結果、現象的に6人中5人の患者さんの症状に改善が見られ、炭八を床下や天井、室内で利用することで、アトピー性皮膚炎の症状が緩和できる可能性があることがわかりました。その結果は、2005年7月に日本皮膚アレルギー学会で発表されました。

●第35回日本皮膚アレルギー学会
●2006年6月22日 産経新聞
arelugi20gakkai2.jpg
2005年7月17日 パシフィコ横浜

Kアトピー性皮膚炎改善の共同研究により生まれた天井用調湿木炭「炭八」(2003)

 アトピー性皮膚炎の患者さん宅の床下やベッド、マットレスの下や室内に置くなど試みましたが、寝室が2階の部屋の患者さんもいらっしゃったことから、天井裏に「炭八」を入れることを思いつき、3人の患者さんのご自宅で試験的に試してみました。
 その結果、症状の改善が見られたことから、健康に暮らせる住まいづくりには「炭八」が欠かせないと思い、天井用調湿木炭を開発しました。
天井
天井に敷き詰められた炭八

L炭八で気管支ぜん息改善の可能性(2003〜2005)

島根大学医学部小児科との共同研究

 アトピー性皮膚炎の共同研究の結果、大人の方も対象となっており、炭八を入れたという安心感や気持ちがよくなったという精神的な影響も考えられることから、薬でも改善が見られない重症であった小児気管支ぜん息患者7人を対象に新たに医学部小児科との共同研究を行いました。
 患者さんのご自宅の床下や天井裏、ベッドの下などに炭八を入れたところ、7人中6人の改善が見られました。共同研究では、炭八を入れる前の居住空間のカビの胞子量などを調査し、炭を入れた後、半年後、1年後のカビ胞子量の減少と症状改善とが医学的な観点からも可能性があることがわかりました。

●第18回日本アレルギー学会春季臨床大会
●2006年6月16日 朝日新聞
竹谷 健先生
島根大学医学部小児科
竹谷 健先生

Nビニールクロス、アルミサッシなどの高気密と冷暖房の使いすぎの問題点を発見(2003〜2004)


 島根大学医学部との共同研究で、アトピー性皮膚炎や小児気管支ぜん息は生まれつきのアレルギー体質の方であることを知り、そういった体質の方がアルミサッシやビニールクロスで覆われたようなカビやダニが発生しやすい高気密な住居環境で生活すると、症状が悪化すると考えるようになりました。
 また、高気密の弊害により、冷暖房に頼りすぎ、室内が夏も冬も乾燥しすぎてしまい、アトピー体質にとって最悪な状態である角質の乾燥を促進させていることもわかってきました。

O炭の賃貸マンション「炭の家」への採用(2004)


共同研究により天井用の「炭八」により「湿害」が解決できることがわかり、出雲土建が2004年に本格的に営業展開を開始した賃貸マンション“体にやさしい「炭の家」”に「炭八」が採用されました。

P天井構造で特許取得

 島根大学医学部との共同研究の過程で発明された「木炭(炭八)による防音調湿工法」の特徴は次の3点です。
拡大はこちら
1. 一般的に使用されている通気性の少ない天井ボードの代わりに穴あきボード(音楽教室や昔の病院に使われていたもの)を貼り、室内と天井裏との通気性をとっている。
2. 天井ボードのすぐ上には、天井用の「炭八」(1袋15リットル、約2kg)を1u当たり約6袋をぎっしり敷き詰めている。
3. 天井裏と屋外の壁に通気口を設け、梅雨時期の室内や台所などから発生する水分を天井ボードの穴を通して「炭八」が吸着し、その湿気を天井裏から屋外へと出す自然換気システム工法。

この工法は2010年7月16日に特許として登録されました。

  ●特許4550609号
  ●発明の名称 防音調湿天井構造

詳しくは、<炭の家サイト>をご覧ください。

特許4550609号

Qさまざまな施設に「炭八」が利用されています

「炭八」の様々な研究成果が認められ、出雲市では、出雲市役所新庁舎の一部や、保育園、高齢者施設、病院などで採用されています。
 
●施工例


炭の家

 

R全国初の高大産連携で、炭八(タンス用)の効果を検証!

 島根県立出雲高等学校では、文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受け、大学や企業・各専門研究機関との連携、先端技術の研修活動など、より充実した教育活動を展開することにより、将来の国際的な科学技術系人材を育成することや、生徒の持っている可能性を広げることを目的とした活動を行っていらっしゃいます。
 出雲土建も島根大学産学連携センター地域医学共同研究部門の中村守彦先生と出雲高校様よりお話しをいただき、2012年より出雲高校、島根大学、産業(出雲土建)で全国初の高大産連携で炭八の研究を行いました。
 研究では出雲高校の生徒さんが主体で研究方法を考え実行し、研究時間外にも大学の方で一生懸命研究を行っておられました。この研究成果は出雲高校の校内発表会8項目の中から2項目に選ばれ、県大会に出場されました。
 今回の研究では「炭八」のタンス用の調湿機能を確かめることを目的とし、一般的に除湿材として使われているシリカゲルや塩化カルシウムとの比較をしました。

 出雲高校01  出雲高校02
出雲高校03

炭八が他の炭とどこが違うのか調べています。電子顕微鏡写真は、島根大学総合科学研究センター様の機械をお借りし、出雲高校の生徒さんが自ら撮影されたものです。

 

◎実験内容

 ・吸湿過程

 炭八100g、袋のみ、塩化カルシウム100g、シリカゲル100gの4つを、それぞれプラスチックケースの中に入れ、プラスチックケース内の湿度を90%まで上昇させた後の湿度変化を観察されました。

 出雲高校04  出雲高校05

  → 結果 

出雲高校06 

 炭八は調湿材であるため、塩化カルシウムやシリカゲルのような除湿材とは違い、過乾燥になりすぎない程度にしっかり湿気を吸うことがわかります。

  ・放湿過程

十分に湿気を吸わせた炭八100g、袋のみ、塩化カルシウム100g、シリカゲル100gの4つを、湿度20%前後にしたプラスチックケース内に入れ、それぞれの放湿過程を実験されました。

→結果

出雲高校07 

試験の結果、炭八のみ湿気を放湿しています。放湿過程も炭八は40%程度になっています。

 ・再吸湿過程 

湿気を放湿後、4つの検体が再度吸湿するか確かめる実験も行われました。

 出雲高校08

→ 結果 

 炭八、塩化カルシウム、シリカゲルの3つとも湿気を再吸湿することが結果よりわかります。最終的に炭八は湿度50%程度で一定になりました。

 出雲高校09

 ・考 察 

 出雲高校10

出雲高校11 

 今回の研究では、塩化カルシウムやシリカゲルは湿度を急激に下げることができるが、過乾燥になることがわかりました。
 アメリカ暖房冷凍空調学会のデータによると住居環境の快適湿度は40%〜60%とされており、炭八の保つ湿度は40%程度であるため、住居環境には炭八は最適と考えられます。


 ・炭八の新たな可能性

 出雲高校12

実はこの測定をする前に出雲高校の生徒さんが炭八の工場へ見学に来られました。
 そこで見つけたのが、製品として出すことのない炭八の「すす」(以後、粉末状炭八)でした。この粉末状炭八を利用した新商品も考え、研究発表会で紹介されました。

 出雲高校14

粉末状炭八は通常の炭八と比べ、迅速な吸湿性はありませんが、十分な調湿性を有します。

 出雲高校13

出雲高校の生徒さんが考えられた粉末状炭八を使ったブーツキーパーです。研究発表会では試作も作っておられました。

今後の商品開発に取り入れたいと思います。


この研究成果については、2013年4月19日の毎日新聞で掲載されました。 

 新聞記事データ.jpg

 

「炭八」開発物語TOP 

知れば知るほど住まいには「炭八」